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建設の大幅な遅れ

(本稿は著者の推理をまじえて書いております事を、予め御了承願います)

寛容なる加速器ユーザーは、既に諦めてしまい、問題にする事がないようであるが、J-PARC建設は、結果的に建設工期の大幅な遅れを生じている。もし、最先端加速器であれば、SNSと比較して、実験研究開始の3年の遅れは、世界との競争において、影響を受けないはずはあるまい。

当初建設計画:
2001年度予算開始
リニアックのビーム試験予定:2006年3月
注)計画予算が認められた当時は、2004年度内にリニアックからビームを出すと声高に云われていた。SNSを意識しての事である。

実際にリニアックのビームは、2006年11月に初めて加速された。リニアック建設の遅れが少ない事には理由がある。最も労力と時間が必要なリニアックの低エネルギー部分は、KEK予算により1998年度に発注され、建設が進んでいたのである。この部分に関する詳細は、本ホームページ内の、

第 LAST-3章:陽子リニアックの研究開発史

を参照して下さい。

J-PARCよりわずかに早くスタートしたアメリカのSNS計画は、既に2005年4月には中性子を発生する事に成功した。
初期計画図を参考にスケジュールを図示すれば、下図の如くである。


このまま順調に推移しても、MRのビームスタディは1年遅れ、ユーザー側へのビーム供給開始は、SNSに遅れる事、ほぼ3年となろう。
建設担当者の名誉の為に書いておくと、当初、2005年度末のビーム加速を実現する為には、相当の頑張りが必要とみなされ、繰返し繰返し工程表の書き直しを命じられたリニアック加速管グループは、当初の予定に間に合わせようとすれば、出来たと聞いている。従って、ビーム加速開始が2006年11月まで伸びた事に、リニアック加速管グループは貢献していないようだ。

2007年1月現在の計画表を下に示す。