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4.1 大型ハドロン計画 デザインレポート 1988

山崎氏を中心に再出発したワーキンググループは、ほぼ一年後に、加速器のデザインレポートを発表した。

大型ハドロン計画陽子リニアック ワーキング・グループ報告 I
JHP-10 KEK internal 88-8

これは、大型ハドロン計画推進作業部会が作り、表紙の下には、東京大学原子核研究所 1988年9月 と記入されている。この作業部会は、東京大学原子核研究所と高エネルギー物理学研究所の共同研究として成立していたが、下記の参加メンバーからもわかるように、実質的にはKEKメンバーがリニアックに関する作業を行っていた。

ワーキング・グループ・メンバー
穴見昌三、阿部勇、新井重昭、五十嵐前衛、池上清、上野彰、小野正明、影山達也、加藤隆夫、木原元央、工藤喜久雄、久保忠志、久保田親、斉藤芳男、高木昭、高崎栄一、高嶋武雄、竹中たてる、徳田登、内藤富士雄、南茂今朝雄、花木博文、馬場斉、福田茂樹、福本貞義、森義治、両角祐一、山崎良成、吉野一男
(核研は新井、徳田氏)

ここで提案しているリニアックの主要なパラメータは次のごとくである。

ビーム・エネルギー 1 GeV ( 1000 MeV)
平均ビーム電流 200 マイクロアンペア以上
繰り返し 50 Hz
リニアック全長 約500m
ピーク・ビーム電流 20 mA
ビーム・パルス幅 400 マイクロ秒
高周波パルス幅 600 マイクロ秒
基本周波数 432 MHz

リニアック関係者からみて興味あるパラメータは、エネルギーが高い事(1 GeV)、パルス幅が長い事、ピーク電流は意外と低い事、全体として、平均電流は高い事であろう。

1 GeV リニアックの構成を下図に示した。リニアックの周波数は基本が432 MHz となり、高いエネルギーの加速管では3倍の1296MHz が選ばれている。図4.1の中で日本語が使われているのは、官僚対策として、英語は極力使用しない事というお達しがあったからだと記憶している。馬鹿げた手間ひまの増大であった。今後よく出てくるので、言葉の翻訳をしておこう。

高周波四重極リニアック:RFQ:Radio Frequency Quadrupole Linac
アルバレ型リニアック:DTL:Drift Tube Linac
結合空洞リニアック:CCL:Coupled Cavity Linac

図 4.1: 1 GeV 陽子リニアック(最初のデザイン 1988年)
\includegraphics[width=12cm]{1gevschemeph.EPS}


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