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3.5 MEBTでのミスマッチの修正

5月23日のスタディにおいては、次のような特徴的な事が起こっていた。 リニアックのチューニングは縦と横方向の運動に対して行われる。縦に関しては、パラメータの値は既に決まっているので、デザイン値に近づける過程がチューニングである。横に関しては、収束の強さとマッチングという二つの大きなノブに分けられる。J-PARCリニアックの当初のデザインでは、両方のノブが自在に使える仕様になっていたが、ある時期に、収束力の可変範囲に関しては、自己規制するという選択をしている。
横マッチングは、段階的に低エネルギー側から行われる。マッチしていないビームを使って、後続部分のマッチングはやりにくいからである。5月23日配信メイル(第2.2節)によれば、今回のスタディでは、MEBTにおいて横方向のミスマッチが起きている事に気付かずに、叉、チェックする事もなく、後続のマッチング作業を延々と日数をかけて行っていた事になる。
スタディ過程では、横方向ミスマッチにより、SDTL7では放電が頻繁に生じていた。マッチングの修正により、運転時間中の放電回数がどのように減っているかを紹介する。

図 3.1: MEBTミスマッチを修正した日(22〜23日)前後の高周波系の警報回数。SDTL-7(赤)と全RF系(青)の日毎の統計を示した。
\includegraphics[width=10cm]{PLOT.RFdownNMay.EPS}

SDTLの入射付近のビームプロファイルは、MEBTミスマッチの修正前後で次のように変化している。

図 3.2: ミスマッチ修正前後のSDTL入り口のプロファイル。縦軸は裾が見やすいようにログになっている。
\includegraphics[width=10cm]{profileSDTL0523.EPS}

3.1によれば、ミスマッチ修正前の22日には、SDTL-7には40回以上の警報があったのに、修正後の24日にはゼロになった。図3.2を見れば、ミスマッチ改善後のプロファイルの幅とすそ野の改善は顕著である。

5月23日付配信メイル(第2.2節)の中に、見過ごせない情報が含まれている。

この情報が事実とすれば、次のように事実経過が推定される。

こうした事実経過は、複数の誤まりの結果と見られるので、反省材料として、指摘しよう。

J-PARCリニアックは、相当に質がよく作られているので、普通にスタディを行えば、それなりの結果は得られるはずである。今回の場合も、最初にMEBTのエミッタンス測定を行っていれば、横マッチング達成の為に、日数を無駄に費やせずに、結果が得られたと思われる。
失敗は何事にもあり得る事である。その場合の心がけ次第により、それらは貴重な経験を積み重ねる機会ともなる。心がけを新たにして、最終目標まで早く到達してほしい。


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