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3.6 加速電流と微弱電流モニターについて

J-PARCリニアックのビームスタディでは、SDTL加速成功後、暫くにしてかなり良好なビーム電流透過率を達成している。これは、加速パラメータの設定には、大きな誤りはない事、そして、加速器として致命的な欠陥は生じていない事の二点による。ところで、前節で述べたように、この良好なビーム電流透過率はMEBTで生じていたミスマッチという条件のもとで達成されていたという事になる。これは何を意味しているのであろうか。

図 3.3: ミスマッチ修正前後(5月21日(青)、5月23日(赤抜き丸))のリニアック全系のビーム電流透過率。モニター番号8以降がSDTL。SDTL-7はモニター番号14付近。イオン源からは30mA程度。規格化は、MEBTモニターを基準とした。
\includegraphics[width=10cm]{PLOT.beamtrans0523.EPS}

3.3は、MEBTのミスマッチが存在する時のリニアック全系のビーム電流透過率と、修正後の値を表している。電流測定値に伴う測定誤差の方が、ミスマッチ修正による変化よりも大きい事がわかる。但し、個々のモニターに関しては、ミスマッチ修正後の値が大きくなっているから、モニターの絶対精度に問題があるという事を示している。この図から見る限り、MEBTでミスマッチがあり、SDTLの全系にわたり高周波が不安定になるという反応を起していても、ビーム電流の測定値を眺めるだけでは、状況はなかなか把握出来ないと思われる。

図 3.4: J-PARCリニアックのビーム孔半径と想定されていたrmsビームサイズ。
\includegraphics[width=10cm]{borevsbeamGRENN.EPS}

3.4は、J-PARCリニアックのビーム孔半径と想定されていたrmsビームサイズを表している。ビーム半径をrmsサイズの5倍としても、まだ充分な余裕がある事がわかる。これは、エラーを含むビームシミュレーションで生み出されるビームのハロー部分がリニアックのビーム孔にあたらないようなデザインとしたので、かなりの余裕があるデザインとなった。現在の測定で、SDTL出口で4mm程度のビームセンターの振れがあるが、プロファイルが相当に広がっていない限り、大きなビーム損失は起らないと思われる。
DTLの安定化に伴う注意事項としても述べたが( 20 MeVリニアックの測定と検討 1980年〜)、充分な余裕があるデザインでは、運転時にはそれなりの注意が必要となる。
その意味では、今回の場合に、微小なビーム損失が測定可能なビームロスモニターは、どのような記録を残しているのか、興味深い。


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