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3.8 スタディ結果等の公表について

ビームスタディが行われている日には、毎日Study Summaryが配信される。これはjk-accというメイリングリストだから、関連する加速器関係者に配信されているのであろう。内容は、ビーム状態の簡単な記述とスタディの項目の列挙である。この内容からは、ビームスタディ状況がどのようであるかを知る事は極めて難しい。スタディラン毎のレポートが報告されるという事もないようだ。

こうした日々の簡単なレポートだけを配信するという裏には、スタディ担当者の「なるべく(良い)結果だけを公表したい」という希望があるのであろう。今回のランの如く、ランの最後になってから、大きな誤りを発見して是正した場合、それを逐次報告していれば、それらを継続して読む読者は、努力の結果と評価するだろう。スタディの誤りは、どこにもある事程度の評価であろう。毎回、素っ気無いレポートを出して、常に順調のような印象を与え、最後になってから、実はこうだったという場合には、人々は、最終結果よりは、隠蔽していたのでないかという疑念を中心に据えて評価をする可能性がある。それは望ましくない方向であろう。

昨今の報道によれば、特に原発関係の電力会社では、事故を隠すだけでなく、ねつ造まで行って、事実を隠蔽する事が、日常茶飯事として行われていたという。こうした事実を他山の石とする為には、ビームスタディの経緯や日頃の活動状態を詳細に公表して、公開性と透明性を高めておく姿勢が必要なのではないか。誤りはどこにもあり得るが、それを即座に公表し、是正する努力をすれば、世間様は責任者に責任をとれとは云わないようである。誤り自体ではなく、それを隠蔽した時に、大きな批判を浴びるのである。J-PARCは今後、多くの予算を必要としている。それには、社会全体からの支援が大きな力となるだろう。その為の努力は、単に一般公開などの特定の日だけの努力だけでは不充分である。大きな加速器の完成が迫った現在では、関係者がどのように仕事を続けているかを、きちんと外に向けてレポートする事は、大きなチャンスであり、且つ、相当に重要なのではないか。

現在配信されている程度の毎日のサマリーレポートを、例えば、日本が初めての自前の火星旅行が実現した時に、毎日のレポートとして国民が受取ったとしよう。ほとんど即座に、次の計画への支持は激減するであろう。仮に、そのレポート配信の裏に、相当の重故障があり、それをうまく乗り切ったとしても、事後報告の形では、秘密主義への批判等の逆の反応が生じる事が容易に想像される。

J-PARCの競争相手でもある米国のSNSは、加速器運転の週間レポートを出しているが、おそらく専従者が編集して執筆しているであろうという分量である。その中には、ある程度のfailure記事も含まれている。SNSレポートと少し比較するだけでも、J-PARCは秘密主義であり、一体何をしているのだという批判がたやすく生まれる余地がある。そうした批判を回避する方が良いのではないかと思うが、いかがであろうか。

参考:

SNSの加速器関連 web sites:

J-PARCの加速器関連 web sites:


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