ACS空洞製作に問題はあるか
- ACS製作に関する技術的な問題は、ここでは取り上げない。現在進行中の問題があるとすれば、関係者の努力の範囲で解決されると推定する。しかしながら、実機長さの空洞の製作テストを現在行っているという現状からみて、開発研究と量産体制には、今しばらくの時期的余裕がほしいと直接の関係者は考えていると推定する。
参考:2007年9月28日 第14回ハドロン加速器推進委員会資料:入射器エネルギー回復について(ACSの状況を主観的に)
- ACS空洞は、数年の短期間の間に、数十台の加速管を製造しなければならない。それは請け負う企業にとっても相当の仕事量であろう。
- 既にJ-PARCは運転中であるから、日程的な遅延は許される状況ではない(と迫るであろう)。
- 加速管の発注は、本来はその加速管の研究開発を終えてからなされる。しかし、現実の競争の中では、そのような悠長な事ではなかなか難しい側面がある。
- 従って、発注側には、それなりの心がけが必要となるのだが、杓子定規の場合もありうるだろう。
- 現在の所、ACS加速管製作が可能な企業の数は少ないと聞く。
- そうした企業には、別の大きな案件が存在する可能性もあり、そうした点は、予算の元締めであり、全ての情報が集まる中央官庁はよくわかっているに違いない。
- 競合するような予算を認めれば、全体としての整合はとれまい。ぼやきが辿り着いた上司からのお小言は望ましくなく、予算を出す担当官はそこら辺もよく考えるに違いないので、概算要求する側でも、慎重に考慮すべきであろう。
結論
リニアック延長は、かなり大きなプロジェクトなので、各方面での競合関係を慎重に検討して計画を行っている事と推定する。それにしては、受注可能と思われる企業の数が少ない。長期的な研究開発の戦略に問題はなかったか。