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6.3 リニアックデザインーー可変収束系

ピーク電流が50mAの場合、リニアックの収束系が一定の場合でも、迅速に安定な運転に到達出来るかと問われれば、答えは否である。もし出来るという方がいれば、それはそれでやってもらえれば良いのであるが、私が考えるチューニング方式では、やはり収束系は可変が必須である。その場合、最小の横方向収束系の位相進みはどの程度が必要であるかと問題があるが、私は次のように考えている。確かにstability diagramを書いてみれば、安定領域は広がっている。しかし、安定領域だからどこでも良いという事にはならない。PS リニアックのビームスタディの時、横方向の収束力をエネルギー増加に従って落としていくと、ある所からビームが劣化する。この場合、入り口の所では、一応のマッチングは出来ているので、入射のミスという事はない。ただし、PS リニアックでは、最大隣り合う4個の電磁石を同一電源により励磁する方式が採用されているが、これが問題になっている可能性はある。ミスマッチが次第に積み重なっていくと考えられる場合である。これが収束力を弱めていった時の、スタディの感触である。ビームシミュレーションでは、ある程度収束力を弱めてもビームは劣化しない。但し、空間電荷効果を含む位相進みがある値以下になるとビームは劣化する。私が提唱する入射位置のゼロ電流位相進みが60度弱程度というのは一つの目安であり、これにより、縦横が大体うまく加速出来るようにデザインされている。実際のビームは局所位相進みという考え方が必要である。そのようなデテイルを問題にせざるを得ないようなビームの性質とビーム損失がリニアックには要求されているのである。従って、そうした事が充分スタディ可能なようにリニアックを建設する事が重要であると考えている。サーベイする範囲はここまでしか出来ませんでしたというようなレポートは、背任の責を咎められるだろう事を肝に銘じて仕事を進める事が求められる。


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