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: 4. 物理学会でのセンター長の報告について 2007年3月 : 3.4 電場についての追加資料とその対策 : 3.4.1 空洞電場測定値について   目次   索引

3.4.2 対策?

パルス運転の場合に、ある測定値は、あるタイミングの時の値であるという事は、実は肝に銘じておかなければいけない事である。1980年以来のKEK PS陽子リニアックで、ビームとタンクレベルとの関係を、時系列的にまとめる作業をした時に、この事の重要性を相当の悔いを伴って思い知らされたものである。あの当時、ビーム幅は5マイクロ秒であり、それに合わせて、電力増加パルス(コンペンセーションと呼んでいた)を、ビームのしばらく前のタイミングから発生させていた。これを発生させるタイミングが相当に微妙であって、後続の円形加速器の加速効率にも影響するのである。このようなシステムでは、空洞電場の測定用トリガーパルスのタイミングの位置により、測定値が随分と変わってしまうのである。更に、ビームスタディの時には、ビームとかコンペンセーションのタイミングをさんざんいじりまわすので、その様子が測定データに反映されるように、空洞電場測定用のトリガーのタイミングもずらす場合がある。そして、少ないビームスタディ時間を有効に使う為に、時間のぎりぎりまで測定をしているので、後始末(全てのタイミング等を元に戻す事を含む)は、しばしばなおざりにされる。よほど徹底して管理しなければ、ずれてしまう所以である。
従って、経年あるいは経時変化の蓄積が期待される測定データは、厳しい保護規定の元に管理されなければならないのである。今回の騒ぎを見れば、コミッショニング担当グループには、そのような意識はまったくなく、更にコミッションンググループとrfあるいは加速管グループの間にも、そのような打ち合わせがなかった事が、うかがわれる。このようなコミッションング体制では、色々と非能率的な事が生まれるであろうと推測される。
機器グループは、運転の為の基本的な道具の準備をするのが役割である。モニターグループは、ビームと運転パラメータを測定する。
制御グループは、マシンの制御に必要な様々な仕事を受け持つ。
J-PARCでは、モニターにより測定され、整形された信号が、制御グループに渡され、そこで様々なソフトウェアが作られると聞いている。そのような場合、わたされる信号にどのような不定要素がありうるかなどという問題は、ありうる想定問題ともならないであろう。
最近の原発関連ニュースに恐ろしい話が含まれている。制御棒が脱落して、臨界に達する事故が、多発していたのである。その詳細を知らないので、危険な推理ではあるが、原子炉の構造や働きを正確に理解していない場合には、どうしてもソフトに隙間が出来るのではなかろうか。
リニアック運転に必要なソフトは、仮想空間上のゲームソフトではなく、メガワットクラスのパルス電力を扱っているのである。一瞬の隙があれば、将来、ビームダクトをビームが焼き通す事はたやすい。


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