さて、この方法が持つ見逃せない欠点は、通常は直進するチョップされたビームが、偏向磁石の逆励磁により陽子とは逆方向にほぼ同じ程度(〜5mm以上か)振られてしまうことである。曲げられた方向にはスクレーパが無いので、次の四極磁石の働きによりビームは再び中心軌道方向へ戻るが、その後調整をするとしても、ビームが直進する場合に比べて大きく蛇行しながらDTLへ入射する。従って、もっとも避けるべきDTL入射時のミスマッチが不可避となる。これがエミッタンス増加やハロー生成につながる事は簡単に想像される。
第一に驚く事は、2008年2月にATAC-8において報告されたエミッタンス増加と同じ表(同じ数字)が、今回も報告されている事だ。
水平方向 | 垂直方向 | 水平方向増加率 | 垂直方向増加率 | |
(1)規格化rms 5 mA DTL出口 | 0.27 | 0.25 | 1.0 | 1.0 |
(2)規格化rms 5 mA SDTL出口 | 0.23 | 0.27 | 0.85 | 1.08 |
(3)規格化rms 5 mA A0BT出口 | 0.25 | 0.27 | 0.93 | 1.08 |
(4)規格化rms 30 mA DTL出口 | 0.42 | 0.36 | 1.56 | 1.44 |
(5)規格化rms 30 mA SDTL出口 | 0.35 | 0.40 | 1.30 | 1.60 |
(6)規格化rms 30 mA A0BT出口 | 0.37 | 0.40 | 1.37 | 1.60 |
(4)規格化99.5% 5 mA | 7 | 10 | ||
(5)規格化99.5% 25 mA | 7 | 10 | ||
(6)比(5)/(4) | 1.0 | 1.0 |
言い訳が多くて見苦しい報告であるが、その内容を評価すれば、