現在のRFQ空洞の性能とデザイン計算との間にかなりの乖離があるにもかかわらず、既に(未だに実現が視界に入らない50mAイオン源を期待して)50mA用と称して2台目のRFQ空洞の建設を途中まで行ったと聞く。10億円オーダーの巨額経費ときく。一台目のRFQ性能がビームテストによってきちんと評価されていない時期であり、J-PARC建設予算の締めつけにほとんどの加速器関係者が汲々としていた時期であったから、当初から、そのような強引な計画には多くの批判が存在した。測定データが出そろった今、関係者は、一台目のRFQの実現性能とデザインとの乖離について検討を行い、二台目のRFQを作ると決断した時に行ったであろう検討内容を検証して公表すべきである。二台目のRFQのデザインに、既にそうした検討内容が予見的に反映されていれば、それこそが、何も検討をせずに見切り発車したのではないという事の証明になるのではないか。仮に、10億円オーダーの二台目の発注が、ビームテストにより判明した欠陥に関連する類いの検討結果を踏まえずに為されたとすれば、それは技術的な頽廃と呼ばれるであろう。RFQ製作方法に関連して、加速性能に関する疑問点は当時から指摘されていたのである( 5.2 RFQ出力エネルギー不足の問題)。