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2.1.4 チョッパーの動作

2007年前半のリニアックスタディにおいては、チョッパー空洞の全般的なチューニングが悪くなっていた。その理由は「おりおりの話題:RFチョッパーの位相アクセプタンス」に既に書いたが、この時点できちんとチョッパービームスタディをする事は、当然の事だろう。
更に、感度の良い測定器を使って評価する事も結構な事ではあるが、この場合には注意しなければいけない事がある。ワイヤースキャナーは積分型の測定器である点である。MEBTで相当の角度で蹴られたにせよ、中途半端にけり出されたビームは、スクレーパの位置がビーム軸からある程度離れている場合には、スクレーパによってカットされる事無しに、DTLを通過し、SDTLも通過するのである。従って、ワイヤースキャナーでビームを検出する場合、スクレーパの設定は次のような段階を踏む事になるだろう。

まず、ビームパルス相当部分ではチョッパーをCW運転させてみて、ビームを全数けり出す。その場合にSDTLワイヤースキャナーにビームが見えなくなるスクレーパ位置が基本のスクレーパ設置位置となろう。スクレーパの位置にかかわらず、常にビームが部分的に残るようであれば、それはチョッパーのチューニングと運転方法に問題があると結論されよう。
次に、チョッパーをリングに対応したデューティを持つ定常状態のパルス運転にする。この場合、トランジエント部分をある程度カットするように、ビーム軸にスクレーパを近づける事が必要となろう。従って、過渡部分の量的変化が見られるような時間軸モニターを併用しないと、適正な調整は難しい。

$\bullet$ 9月15日配信:Subject: [jk-acc:03542] Study Summary
BEAM STUDY SUMMARY(Sep. 15, 2007 11:20 -18:50)

-- Beam conditions --
Energy: 50 MeV, Peak current: 5 mA, Pulse width: 0.05 msec, Repetition: 2.5 Hz
Beam dump: 0-deg dump
Buncher ON, Chopper ON/OFF
---------------

・ビームモニターの調整
・50MeV加速(DTL3まで)確立の確認
・チョッパー駆動試験(上流側空洞のみ励振)

$\bullet$ 9月18日配信:Subject: [jk-acc:03547] Study Summary
BEAM STUDY SUMMARY(Sep. 18, 2007 16:30 -21:20)

-- Beam conditions --
Energy: 50 MeV, Peak current: 5 mA, Pulse width: 0.05 msec, Repetition: 2.5 Hz
Beam dump: 0-deg dump
Buncher ON, Chopper ON/OFF
---------------

ビーム電流のノイズ対策、故障したSDTL四重極電源の交換の後、以下の試験を行った。

・チョッパ−1空洞のみ駆動試験
上流側のみ励振について、予定していた試験は完了した。

$\bullet$ 9月19日配信:Subject: [jk-acc:03552] Study Summary
BEAM STUDY SUMMARY(Sep. 19, 2007 16:00 -20:10)

-- Beam conditions --
Energy: 50 MeV, Peak current: 5 mA, Pulse width: 0.05 msec, Repetition: 2.5 Hz
Beam dump: 0-deg dump
Buncher ON, Chopper ON/OFF
---------------

・チョッパー空洞を下流側のみ励振に組み替え、チョッパー駆動試験を行った。
チョッパー位相調整を行い、蹴り角の測定を行った。

さて、スタディの結果、「目出度くKEK時代の運転を再現出来た」との報告がなされている。ところが昨年(2006年)にリニアックビームスタディが始った直後に、相当にひどい結果であるにもかかわらず「つくばでの実験結果をほぼ再現できた。2006.12.14」という恐るべきスタディレポートが出されていた事が思い出される。その程度にまで回復したという事ならば、それを回復と呼ぶ事はできないだろうとは、既に指摘した(2006年12月スタディ:チョッパー)。
しかしながら、そうした差異が問題になるようなRCS入射が要求されるのは、大分先の事ではあるまいか。


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